山岳展望のハイライトはトレッキング5日目のプーンヒル(3194メートル)での夜明け。午前5時前にゴラパニのロッジを出てヘッドランプを頼りに登ること約1時間。プーンヒルは夜明けの大展望を期待する各国のトレッカーでいっぱいだった。星空の下、世界7番目の高峰・ダウラギリ(8167メートル)からアンナプルナ山群の大パノラマが黒くシルエットで広がっている。「これなら日の出と共に素晴らしい景観が期待できる」。胸が高鳴った。
午前6時過ぎ、ダウラギリの山頂部がポッと赤く染まった。トレッカーから「ウォー」という歓声とも、ため息ともつかない声が漏れる。山頂にともった赤い炎は切り立った斜面を駆け下るように広がり、ダウラギリ山群の頂に次々と赤い火をともしていった。目を転ずると透き通った空気の向こうにアンナプルナ山群からマチャプチャレまでの山並みがくっきりと浮かび上がっていた。
大展望に恵まれた興奮の余韻にひたりながらゴラパニのロッジに下る途中で、ダウラギリに雲がかかり始めた。目に焼きついた朝焼けのダウラギリがそれに重なり、心の中で素晴らしい光景を何度も何度も反芻していた。
トレッキングはいよいよ終盤。ゴラパニの峠で山岳展望と別れ、かつてチベットとインドを結ぶ交易路として栄えたジョムソン街道をひたすら下り、ロッジ泊最後のヒレヘ。夕食後開かれた支援スタッフへのお礼のパーティーではネパールの明るい歌と太鼓のリズムに乗って踊るスタッフの輪に参加者も加わり、交流の踊りが夜更けまで続いた。
(O.K=静岡市在住)