コメツガなどの針葉樹林帯に変わった登山道は、いったん天鳥川に下る。ここからが岩山の本格的な登りだ。見事に真ん中で割れた巨岩・桃太郎岩横のハシゴから取り付き、手も活躍を始める。咲き始めのアズマシャクナゲにカメラを向け、一息入れていると下山者が「頂上は登山者であふれ返っているよ」と教えてくれた。遅い時間からの登りのため下山者とのすれ違いが大変だ。佇立する巨岩が目の前に現れるようになると、山頂は近い。
岩峰の山頂はその高度感に足元がすくむ。腹ばいになって恐る恐る覗く足元の直下に瑞牆山の象徴、大ヤスリ岩がそそり立つ。その垂直の岩肌に取り付くクライマーが米粒のように見える。残念ながら富士山は雲の向こうだったが、金峰山から八ヶ岳にかけての見事な展望が広がっていた。
大賑わいの瑞牆山で驚いたのは若い登山者が目立ったことだ。今や山はどこも中高年に占拠されてしまった感がある中で、この日は若者が幅を利かせていた。「嬉しいね。山で若者に会うのは。頑張れよ」。われら中高年グループの仲間が声を掛けると「おじさんたちも頑張って」と若い女性のグループに励まされた。山も登山者が中高年ばかりではつまらないのではないだろうか。多くの若者を迎えたこの日の瑞牆山が、何となく華やいで見えたのは気のせいだろうか。
(O.K=静岡市在住)