翌朝は5時出発。朝日が雲間に赤く燃える。花畑の向こうには飯豊連峰最高峰の大日岳(2128メートル)が斜面に雪を頂いて輝く。ヒナウスユキソウ、ヨツバシオガマ、チシマギキョウ、ニッコウキスゲ、ハクサンシャクナゲ、アオノツガザクラ、オヤマノエンドウ、ミヤマダイモンジソウ、そしてヒメサユリと花の写真撮影に忙しい。小屋から2時間ほどで到着した飯豊本山山頂からは、山懐深い飯豊山塊の核心部を見ることができた。それは厳しい豪雪地帯にあって、夏のつかの間に見せる優しい姿だった。
下山を始めて間もなくの山頂直下で、この山の固有種イイデリンドウを見つけることができた。飯豊山に来たからには是非とも出会いたい花だった。開いていたのはわずか一輪だったが、直径2センチほどの青紫の小さな花が疲れを吹き飛ばしてくれた。
残雪と花の天国から下りた下界は厳しい暑さだった。ビールを求めて立ち寄った酒屋で支払いを済ませると「おしょうしな」と店員。何を言われたのか分からず、きょとんとしていると今度は「ありがとうございました」。「おしょうしな」は山形・米沢地方の方言で「ありがとう」とのこと。
まさに「飯豊山よ、おしょうしな」の山旅だった。
(O.K=静岡市在住)