短縮ルートとはいえ標高差は900メートル近くあり、急登が続く。背後に越後駒ヶ岳など越後三山が姿を見せるようになると稜線は近い。灌木帯を緩やかに登ると突然、目の前が開けて草原に飛び出す。谷の向こうに文字通り平坦な稜線を広げる平ヶ岳がどっしりと構えていた。
ここからは自然保護のため整備された木道を歩く。湿原には大小の地塘が点在し、青空を映して美しい景観を見せる。姫ノ池から望む平ヶ岳はとても2000メートル峰とは思えない穏やかで、たおやかな姿だった。湿原にはイワショウブの白い花穂が揺れ、リンドウやアキノキリンソウなど秋の花が彩りを添えていた。
広大な湿原が広がる山頂部で木道から10メートルほど入ったところに低木に囲まれて標識と三角点があった。三角点に手で触れ、木道に戻って一休み。目の前に広がるはずの燧ヶ岳など尾瀬の山並みは、ガスが上っていつの間にか隠れていた。
帰路、平ヶ岳のシンボルとなっている「玉子石」に立ち寄る。石の上に大きな玉子を載せたような奇岩は、花崗岩が浸食されてできたという。まさに自然の造形の妙に驚くばかりだ。
登山口には朝、送ってくれたマイクロバスが待っていた。往復6時間、それなりに充実した山歩きだった。大きく揺れるバスの中で、非正規ルートが何となく裏道のように言われていることにちょっぴり反発を覚えていた。
(O.K=静岡市在住)