梅雨時期の山登りは天気予報とにらめっこをしながら計画を練る。1週間先の予報が晴れマークとなっていても、その日が近づくと雨マークになってしまうことも、たびたびだ。結局、予報を見て「明日は良さそうだから」と急遽、出かけることが多い。暇人だからこそ出来ることで、仲間を誘いたくても前日の誘いに乗ってくれる人は、まずいない。だから大抵単独行となる。今年は梅雨入りしたと思ったら、すぐに中休みとなった。静岡、山梨、長野の3県にそろって晴れマークがついた6月中旬、南八ヶ岳の権現岳(2715メートル)に向かった。
新緑に囲まれた天女山山頂駐車場に着くと、どこからかカッコウの鳴き声が聞こえてきた。カッコウだけではない。耳を澄ますと、いろいろな野鳥のさえずりが聞こえてくる。ひんやりと澄み切った空気に包まれた標高1500メートルほどの南八ヶ岳山中は、静寂と、それを破るように響く野鳥の鳴き声が交互に支配していた。見上げれば薄雲が広がっているが日も差して天気はまずまず。これなら富士山や南アルプスの大展望を期待できそうだ。はやる気持ちを抑えながら身支度を整える。カッコウの鳴き声が一段と大きく響く中、午前6時前、駐車場脇にある権現岳への登山口に立った。