お鉢めぐりをしていて富士山の人気ぶりにあらためて驚かされた。最も登山者が多い河口湖口(吉田口)登山道の山頂付近は山小屋が立ち並び、富士山銀座と呼ばれる。ほとんどの小屋が今シーズンの営業を終わっていたが、小屋の前は弁当を広げる人や疲れ果てて座り込む人たちでごった返していた。
富士山の登山者は7、8月のシーズン中だけで年間30万人に上る。そのし尿処理など環境面での保全対策に課題が残る富士山だが、文化的景観の保存を目指して世界文化遺産登録への機運が盛り上がっている。9月18日付静岡新聞が報告した「富士山世界文化遺産国際フォーラム」(9月6日、山梨県・富士河口湖町で開催)の詳報によると、招かれた世界遺産国際委員会の委員らはパネルディスカッションの中で「文化的景観を研究するものにとって文化的価値と自然的特徴を持つ素晴らしい山だ」「富士山は神の手によって刻み込まれたような山だ」などと高く評価したという。
人気の観光地を訪れたようなお鉢めぐりをして午前10時前、砂礫に足を取られながらも無事、登山口に降り立った。厳しい高山の環境から植生が乏しい中で、6合目と7合目の間で珍しいムラサキモメンヅルやヤナギランの花が見られ、殺風景な斜面にちょっぴり彩りを添えていた。
「富士山は登る山ではなく眺める山」とは、何度も登ったことがあるからこそ言えるのだろうが、やはり富士山の真価はその比類ない神々しいまでの美しい姿、景観にある。一日も早い世界文化遺産登録を願いながらガスの流れる富士山スカイラインを下った。
(O.K=静岡市在住)